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1.That can't be true(2)

「だってリーシャは見たんだよ!空からお姉さんが落ちてきたとき羽根があったもん。足、痛くなくなったもん」

「よくわからないけど、今の私には羽根は無いでしょ?」

自分の背中に羽が生えていたなんて産まれてから今まで聞いたこともないし、背中を触って確認してもの背中には羽根は生えてはいない。


「でも、でも…」

小さな眉間に皺を寄せて呟いていた少女が急にパッと顔を上げた。

「…秘密なの?お姉さんが天使なのは秘密の事なの?」

秘密、という言葉が嬉しいのかリーシャはにこにこ楽しそうに「内緒にする」と言う。
よくわからないが…小さい子ってこんな感じだっけ、といちいちリーシャの言うことに反論するのが面倒くさくなってきたは頷いた。


「ねぇリーシャ、此処はどこかわかる?」

「お姉さん、空の上で迷子になっちゃったの?」

「迷子…う〜ん、そうみたいなの」

ちょっと違う気がするが、自分がどこにいるか理解出来ない=迷子という事になるのか。


「ここはね、ミッドガルの下の伍番街にある教会だよ」

「ミッドガル…?」

バラムガーデンじゃない?
一応、ガーデンでの勉強とSeeD試験のために世界中の国名と主要な街名は知識として頭の中に入れてあったつもりだけれど…そんな名前の街は知らないし聞いたこともない。


「ねぇ、ガーデンって知ってる?」

「がーでん?ううん、知らないよ。なあにそれ?」

小首を傾けるリーシャには僅かに戸惑った。
今時、ガーデンを知らない子もいるのか。

ガーデンに入学してSeeDになる事はサッカー選手になる、という夢に次いで子どもたちにとって将来の夢の上位に入っていたと思ったのに。
自分もバラム公国外の国への旅は祖父母の元へ帰省するときだけで詳しい訳ではないが、ガーデンを知らない子や自分の知らない街が世界は広いな。
この時はただ普通に考えていた。









* * *




教会の少し軋む椅子に座り話し込んでいるうちに日が傾いてきた。


「気をつけて帰るんだよ〜」

家へと帰るリーシャに教会の入り口で手を振りながら、はこれからどうしようかと辺りを見渡した。
瓦礫というかスクラッチが道の両側に積み上げられている、この場所はスラム街の外れらしい。
スラム街は映像以外で実際見るのは初めてだったが、このミッドガルのスラム街は妙な印象を持った。

「植物が無い…?」

砂漠地帯では無いのに、外には草一本も生えていないなんて。ちなみに教会内の花畑はリーシャ曰わく「エアリスお姉ちゃんの花畑」らしい。
リーシャから聞いた話によればミッドガルは世界一の都市らしい。推測だが貧富の差が大きいのか。

「ミッドガル、すごい大きな都市…でも、やっぱり知らないな」

見上げた空は、上層部と呼ばれている金属らしきプレートで覆い隠されていてほとんど見る事が出来なかった。

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