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1.That can't be true(6)

地下からの階段を駆け上がると、待っていたのはが危惧していた事態だった。



チュインッ!

「っ!?」

耳障りな金属音が聞こえの足元の床が焼け焦げる。


「残念だったなそう簡単に逃がすと思うか!?」

階段の扉を開けた先に居たのは、倉庫に侵入してから最初に眠らせた誘拐犯達だった。
男2人がマシンガンを構え真正面に立つ男は、青白い発光体が入った筒が取り付けられたマシンガンのような大型銃器を抱え達を睨み付ける。先程、地面を焼き切ったのはこの大型銃器による攻撃らしい。
倉庫に侵入してすぐに見張りをしていた男に見付かってしまい、とっさに唱えたスリプルだったから効果が薄かったか。
しまったな、とは唇を噛む。
ガーデンでの訓練でも教官が言ってたじゃないか「潜入任務では扉を開ける前に敵の気配を読んで慎重に行動しろ」と。
脱出への焦りが生じ、待ち伏せがあるかもという考えは抜け落ちていた。




「魔胱レーザー砲か。あんな物まで用意していたとはな…」

ずっと冷静だった青年だが言葉に僅かばかりの焦りが混じる。
彼等にとって、この青年はそこまで重要視されている人物なのだろうか。それならなおさら、

「コイツ等は私が引き付けておくから、貴方は走って逃げて」

が青年を庇って前に出るが、彼は一歩も退こうとしない。

「何を言う、君は無関係なのだろ?奴らは私を殺せない。この場は私が残るから君は逃げろ」

「せっかく正義の味方を気取って来たのに、カッコ悪い真似出来ないって!」

「カッコ悪いなどはこの状況では関係ない」

「でもっ!」

「でも、じゃないだろっ」

チュインッ!!


子どもの喧嘩のようなやり取りを始めた二人に痺れを切らした誘拐犯が、二度の足元に向けてレーザー砲を打ち込んだ。

「おいっ痴話喧嘩はいい加減にしろ!第一そいつを助けたとしても正義の味方にはなれ…」

「って、サンダー!」

「っ!?」


話の途中で放った魔法は魔胱レーザー砲を抱えている男を直撃する。
不意打ちは卑怯だと思うが緊急時だから仕方がない。

「ぐぉお!?」

強い静電気程度の威力だと、少しでも男が怯めばいいと思って放ったサンダーは青白い稲妻を発し、男を感電させた上にレーザー砲をも停止させた。
肉と金属が焼ける焦臭い臭いが立ち込めて、男は白目を剥いて倒れる。


「こいつ!?」

一気にに向けられる銃口を見て、迷っている余裕は無かった。


「ファイア!(全体化)」

「うわあぁ!?」
「ぎゃああぁぁ!!」

呪文詠唱無しで放ったファイアは、誘拐犯達の動きを封じるように彼等を包み込み、燃え上がる。

「うそ、こんなに…?」

彼等を傷付ける為に魔法を放った。しかし、これは、
威力が違う―…

逃げる事も出来ずに、炎に包まれる男達の断末魔の悲鳴と焼け焦げていく姿をは呆然と見ていた。


「これはまずいな…早く出るぞ!」

「あ…」

炎が積み上げられている荷物に着火し、大きな火柱が上がる。
炎を見つめたまま動かないにそう言い、彼女の腕を掴むと青年は出口に向かって走り出した。






(私、私…)


窓から炎を吹き上げる倉庫を振り返ること余裕も無く、青年に手を引かれながらの瞳には涙が浮かぶ。
認めたくは無いが、もしかしたら此処は自分が今まで存在していた世界とは異なる世界かもしれない。
でもそれ以上に、魔法を放ってからようやく確実を持てた。




(…私、魔女になっちゃった)







…To be continued.

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