先ほど自分がされたように、いつか彼が月子に手を出すんじゃ無いかと、はビクビクしながらもテーブルにお茶を注いだ湯呑を置く。
冷や冷やしているの緊張と、風間と名乗った青年の不機嫌なオーラを感じ取っているはずの月子は、いたって冷静なまま一呼吸おいて衝撃の事実を告げた。
「風間さん…簡潔に言うと、此処は貴方の存在していた時空とは違う時空なの。いえ、此処は貴方の生活していた時よりずっと先の時代、と言った方が近いかもしれないわね」
「…なんだと?」
「うっそ!?本当に!?」
思わずと風間は同時に声を上げていた。
さらに月子は続ける。
「嘘ではありません。その証拠に、この部屋に有る物のほとんどは貴方が見たことが無い物のはずよ」
リビングにあるのはテレビやエアコン、ソファーに空気清浄機や時計など。
彼にとっては初めて目にする珍妙なものばかりだった。
「確かに、そのようだな…」
暫く周囲を確認して、風間は吐き捨てるように呟く。
「風間さん、貴方がこの時空に来てしまったのは運命の悪戯としか説明が出来ない。でも、いつかは還ることが出来るはずです。私たちが巡り合ったのも運命ですから…貴方が元の時空に還るその時が来るまで、此処にいてもかまわないわ」
「えっ、いいの?」
つい、は素っ頓狂な声を上げる。
何時もは人一倍慎重な叔母が、タイムスリップ?してきたといかいう得体のしれない男を家に置くなど珍しいこともあるものだ。この家の家主である彼女には、襲われかけたし本当は嫌なんだけど…等とは言えないが。
の内心を知ってか知らずか、どんどん月子は部屋や彼の生活用品の手配の話を進めている。
「ただし、風間さん。何度も言うようですが、此処は貴方のいた場所ではありません。ですから。この時空の決め事には従ってくださいね」
「…ああ」
鬼とかタイムスリップとか…もうアレな展開すぎて、ついていけない。頭も痛くなってきたし、何だか眩暈もする。
ここは笑うしか無いのだろうか。
でも、あれ?私以外の二人って、口元は笑っているのに、
なんか目が笑ってないんだけど
(と、言うか二人とも睨みあっていない?)
「…もういいや、寝よう」
「、二度寝する前に風間さんにこの時代の簡単な説明をしてくれる?」
「え?う、うん…」