※裏要素があるため、閲覧注意!
繰り返される深い口付けに、酸素が不足して徐々にの意識が朦朧としてくる。
襦袢の上から身体を弄る大きな手に、指にの意志を無視して身体の中心から甘い痺れが生じてしまう。
「っあ…」
はだけた襦袢の合わせから入り込んだ知盛の長い指が鎖骨を撫でる。その指の動きだけで達してしまいそうだった。
しゅる…
の身体を片手で支えながら、知盛は襦袢の腰紐を解く。
(やばい、このままじゃ…!)
頭では焦るが、ハラリと肩を滑る襦袢を押さえる事は出来なかった。
「アッ」
片手で乳房を持ち上げると知盛は胸元に舌を這わす。
頂に軽く歯を立てられて、ビクリと身体を揺らしてしまう。
与えられる快感にガクガクと足が震えてしまい、ついには知盛の肩に手を回してしがみついてしまった。
その様子に知盛はクツリと喉を鳴らす。
しがみつき力が抜けてしまったの身体をゆっくりと床に横たえた。
床板の冷たさを感じ、床に組み敷かれたことに気付いたがそんな事は後の祭りで。
…先日の宿屋での件といい、知盛の慣れた手つきに舌打ちをしたくなった。だが、太股を撫でる手のひらの行き着く先に気付いては一気に青ざめた。
精一杯の抵抗として脚をきつく閉じ、二度知盛の胸を叩くが、逆に片手で両手首を掴まれ床に押さえつけられてしまう。
「やぁ、やめて…」
(これ以上は止めてほしい)
そう目線で訴えて、いやいやと数回首を振る。うっすらと目元には涙が浮かぶ。
「クッ…断る」
知盛はきっぱりと言い捨てると、きつく閉じた太股を片手で無理矢理開かせた。
「―ぁ、アァッ」
直接の愛撫が必要無いほど滴り濡れてしまった蜜壷に、ぐっ と知盛の指が二本入り込んできた。
もう小屋に叩きつける雨音など聞こえない。
の耳に届く音は…ただ恥ずかしい場所を混ぜられる水音と、快感に喘ぐ自分の声だけだった。
指で蜜壷を掻き回すように動かされ、舌で乳首を弄ばれ意識が途切れそうになる。
「もぉ、やぁ…」
潤む瞳から涙が一筋流れ落ちると、知盛はの唇に軽く振れるだけの口付けを落とした。
「アッ」
いきなり抽出を続けていた指が引き抜かれる。
ようやく楽になる呼吸に安堵すると共に、物足りなさから生じた身体の奥の疼きに目眩がしていた。
「知盛…ど、の?」
先ほどまで指が埋め込まれていた蜜壷に熱く脈打つもの当てられる。
次の瞬間には、指とは比べものにならない質量と熱がの中心を一気に貫いた。
「あ…あァンッ!」
「くっ…」
衝撃と快楽に身体を震わす。
息を吐く知盛のかすれた声がすぐ側で聞こえた。
知盛はを抱き寄せるとゆっくりと律動を開始する。
「あっ、あっ、アァ」
腰を打ちつける度に身体がぶつかり合い、溢れた出た蜜がぐちゃぐちゃと音をたてる。
突かれる度に、甘く高い声が上がってしまう。
熱くなった身体はもうどうしようもなくて、知盛の身体にすがってしまった。
「―っ、あアアァっ!」
ひときわ強く突き上げられ、は身体を仰け反らして達した。
押し寄せる快感に浸る余裕も与えられず、さらに突き上げられる。
揺さぶりの律動が激しくなるにつれ、は何度も達してしまう。
明滅する意識の狭間で、熱い愉悦に顔を歪める知盛が見えた。
「クッ…」
呻きにも似た声を漏らすと、知盛はを抱き寄せた。
熱いうねりと抑えようない衝動に抗わず、彼女の最奥へと精を迸らせる。
ドクドクとした熱が自分の奥で弾けたのを感じ、は肩で荒い呼吸を繰り返しながら、ゆっくり知盛の背へ腕を回した。
繋がりを解かれ、膣の最奥に放たれた精液がトロリと股の間を流れ落ちる。
(…子どもが出来てしまうかもしれないな…)
一瞬そう思ったが、知盛に抱き寄せられて触れ合う彼の肌の心地よさに何も考えられなくなる。
彼からの優しい口付けにゆっくりと瞳を閉じた。
* * * *
昨日の大雨が嘘だったかのように、晴れ渡った空。
梅雨の合間に顔を出した太陽は、まだ朝の早い時間帯だというのに強烈な日差しを降り注ぐ。
無言のまま前を歩いていた知盛の足が止まる。
「次で最後だな」
唐突に言われた言葉には俯いていた顔を上げた。
振り返った彼の無表情からは何の感情も読み取れない。
「次の戦で平家は終焉を迎えるだろう」
静かに告げられ、の脳裏に壇ノ浦の戦風景が浮かぶ。
…あと一月足らずで平家は終焉を迎える…目の前に居る彼も、また―…
理解する間も無く、緩みそうな涙腺を堪えるために唇を噛み締める。
顔を歪め、今にも泣き出しそうなに知盛はクツリと笑う。
「…忘れる事だ」
「忘れ、る…?」
「そんな顔をするならば、全て忘れる事だな」
「…そんな事、出来るわけ…ないじゃない…」
この身体には知盛の体温が、唇の、肌の、指の感触がしっかりと残っているというのに。
例え、これが彼なりの優しさだとしても…
口元を無理矢理歪ませ彼を見る。
「…ひどい。やっぱり貴方は酷い人だね」
見上げた自分はきっと、ぎこちなく笑いながら泣いているだろう。
「クッ…そんな事は初めからわかっていただろう」
そう言う知盛の声は何処までも甘く、向けられる眼差しは優しくて…今すぐ駆け寄って抱き付いてしまいたくなった。
だが…それは源氏の皆を裏切る行為。
背を向け歩き出した知盛について行く事も出来ずに、その場に立ち尽くす。
「私…私…」
何に対してなのか解らない涙がポロポロと溢れ出し、遠ざかる知盛の背中を歪めさせていた。